多民族国家マレーシアのマレー系・中華系・インド系の三大民族と文化や祝日などを解説

多民族国家マレーシア

2019年度の統計によるとマレーシアの人口は約3,200万人です。旅行などで短期間滞在しても国語であるマレー語(バハサマレーシア)以外に、あちらこちらで英語、中国、そしてヒンドゥ語など様々な言語を目にするのではないでしょうか。

実はマレーシアは多民族国家で、人種や文化などの多様性が特徴の一つ。その中心となるのが「三大民族」で、ブミプトラ(一般的にマレー系と呼ばれ、オランアスリなどの先住民族なども含む)が61.3%、中華系が20.6%、インド系(6.2%)となっています(※1)。また人口に占める外国人比率も高く、10%ほどがマレーシア人以外となっています。マレーシアは一般的にムスリムの国という印象ですが、実際に住んでみるとさまざま人種や宗教、文化などが重なり合う奥深さがあるのが感じられます。

三大民族のマレー系、中華系、インド系にはそれぞれの暦(こよみ)があるため新年とされる日は異なるのですが、マレーシアではその全てが国民の祝日となり派手に祝います。このことから「マレーシアにはお正月が3回ある」と言われることも。それではそれぞれの民族の特徴などを見ていきましょう。

※1参照データ
https://www.indexmundi.com/malaysia/demographics_profile.html

多民族国家マレーシアの中で最も多いマレー

多民族国家マレーシアの中で最も多いマレー系

人口に占める割合が一番多いのがマレー系で、正確にはブミプトラ(その土地の子=原住民)と呼ばれます。マレー系は国教でもあるイスラム教を信仰していますが、外国人や他の民族の信仰は自由とされています。イスラム教の教えは大まかに言うとハラル(Halal=許されるもの)とノンハラル(許されないもの=Non Halal)があり、よく知られているのが豚肉を食べてはいけない、飲酒をしてはいけないなどです。

マレー系のホーカー(屋台)では酒、豚肉の扱いはありません。まだ左手は不浄とされているので右手を使うようにしましょう。感謝の気持ちを伝えたい時は胸に右手を軽くあてたりします

イスラム教のカレンダーはヒジュラ暦(太陰暦)と呼ばれ1年が345日か355日となるため、西暦のカレンダーで見ると毎年新年を迎える日が約10日ずれていきます。ムスリムが新年を迎える前の重要な行事が約1ヶ月間続くのがラマダン(Ramadan)で、日本では断食月として知られていますが期間中は一切何も摂らないということではありません。飲食が禁じられるのは日の出から日没までとなっているため、朝は日の出前にスフール(Suhur)と呼ばれる食事をたっぷりといただき、日没後にはイフタール(Iftar)と呼ばれるごちそうをいただきます。

この時期はレストランやホテルなどでも日没後にラマダンバフェが実施され、この時期にしか食べられない伝統料理など珍しい食べ物が並びます。また夜にかけてはラマダンバザールも開催され食べ物や飲み物の屋台が出現します。食べ物だけではなく、衣類や日用品などを売っていることも。

ラマダンが開けるとイスラム教の新年となるハリラヤアイディルフィトリ(Hari Raya Aidilfitri/Hari Raya Puasa)となります。日本の年末年始のように故郷に帰省して過ごす人が多く、またオープンハウスなども開かれ、人々が行き交い料理などが饗(きょう)されます。

ラマダンからハリラヤ期間中は日中飲食店が閉まっていたり、行政手続きが遅れる、営業時間が短縮される、タクシーがつかまりにくいなど社会の変化もあります。なので何をするにも余裕をもって生活するようにしたほうがいいかもしれません。

プラナカン文化をマレー系と作り上げた中華系

プラナカン文化をマレー系と作り上げた中華系

19世紀初頭から中国本土から移民としてやってきた中華系マレーシア人。公共の場所では主にマンダリンを話しますが、移住先によって違いがありクアラルンプール、イポーでは広東語ジョージタウンでは福建語クラン、クチン、コタキナバルでは客家(ハッカ)などで、先祖代々の文化や食などが今でも残っているところも多いようです。

また中国から来た男性がマレーシアの女性と結婚し、その子孫たちによって築きあげた伝統文化はプラナカン(Peranakan)と呼ばれ、異なるバックグラウンドを持つ両者の文化や生活が見事に融合していることで知られています。彼らの子供たちはババ(男性)、ニョニャ(女性)と呼ばれ、マレーシアを代表するエスニック料理のジャンルとしても知られています。代表的な麺料理ラクサ(Laksa)のように国民食と呼ばれるものから、マレーシア風春巻きのポピア(Popiah)など珍しいものまでさまざまです。

中華系にとって最も重要な行事がチャイニーズニューイヤー

中華系にとって最も重要な行事がチャイニーズニューイヤー(Chinese New Year)で1月21日から2月20日とその年ごとに異なるのは旧暦に基づいているため。この時期はあらゆる場所で赤色のランタンやデコレーションで埋め尽くされます。

中華系はハードワーカーのイメージがありますが、チャイニーズニューイヤーだけは別のようで前後2週間休むというレストランなども。そのためこの時期は「食事をする場所が少なくなる」という声も聞かれます。

新年を迎える夜には花火があがり爆竹が鳴り響き、火薬の匂いに包まれ煙幕で空が煙るほど。これは大きな音で悪霊を厄災を追い払うといういう意味があります。また同様にイベントなどで披露されるライオンダンス(Lion Dance)は必見!ハイポールと呼ばれる高い棒を渡り歩くアクロバティックな演技はダンスというよりも曲芸。一説によるとこのハイポールはマレーシアが発祥とも言われています。ライオンが配るみかんは縁起物なのでチャンスがあったらぜひ受け取ってみましょう!

ヒンドゥ教だけではなくイスラム教徒もいるインド系

ヒンドゥ教だけではなくイスラム教徒もいるインド系

インド系マレーシア人の多くはタミル系で他にマラヤーリ、シーク教徒などとなっています。18-20世紀のイギリス統治時代にインドから移住しました。マレーシアの三大民族の中では人口に占める割合が一番少ないのですが、海外におけるインド系コミュニティとしては世界第5位の規模を誇ります。その多くはヒンドゥ教徒ですが実はイスラム教徒のインド系もいます。

マレーシアでママック(Mamak)といえばインド系ムスリム料理が食べられる飲食店であり、具体的に言うとインド料理を提供するハラルレストランとなります。マレーシアにおけるインド系が際立つのが食文化への貢献で、宗教的バックグラウンドから菜食主義が多いため、ムスリムが多いマレーシアの食と親和性がよいと言われています。

インド系にとって重要な行事がディーワリ

またインド系にとって重要な行事がディーワリ(Deepavali/ Diwali )です。ヒンドゥ神話に基づき「光が闇に打ち勝つ、善が悪に打ち勝つ、無知が知に打ち勝つ」などの意味を持ち、別名「光の祭典」とも呼ばれることも。その名が示すように光がテーマらしいキラキラした装飾が登場しやコラム(Kolam)と呼ばれる彩色した米で床に絵が描かれるのですが、一説には家の中に悪い気が入ってくるのを守るためとも言われています。マレーシアでは毎年10月下旬から11月の中旬の間の1日が祝日となります。厳密に言うとお正月ではないのですが、それに相当する大きなイベントであることは間違いありません。

毎年1月〜2月にはタイプーサム(Thaipusam)という行事がある

また毎年1月〜2月にはタイプーサム(Thaipusam)という行事があります。こちらはあまりにも危険だということで本国のインドでは禁止となってしまいました。クアラルンプールのパサールセニにあるヒンドゥ寺院スリマハマリアマンからバツー洞窟まで選ばれし行者が身体中に串に刺し、金属の飾りカバディ(Kavadi)を背負い行進するというものですが、その見た目や過酷さから奇祭と称されています。

そしてもう一つ、実はマレーシアではクリスマスも祝日となります。

このようにマレーシアは人種、宗教、文化などのバックグラウンドが異なることを当たり前とらえる大らかさがあります。実際に多民族国家マレーシアで働きはじめると、当初は様々な民族の人が一つの職場で働いていることに新鮮さと感動を覚えるかもしれません。

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