マレーシアに移住する場合、まず気になるのがコンド（日本ではマンション、アパートに相当します。賃貸する場合は部屋数に関わらずユニットと呼ばれます）家賃ではないでしょうか。
こちらでも何度かご紹介していますが、日本と比べてマレーシアの家賃は部屋の広さや共用施設（プール、スポーツジム、テニスコート、卓球・スカッシュなど）、屋内駐車場などが含まれていて大変コスパがよいという印象です。
クアラルンプールの中心部ではストゥーディオ（日本のワンルームマンションのイメージ）やワンルーム（部屋とリビングが別になっている物件）などの単身向けのユニットもありますが、多数を占めるのは2人以上、もしくは家族世帯向けの物件です。
日本と比べると賃貸物件の家賃が安いマレーシアですが、やはり固定費は安くしたいもの。そこで今回はいくつかの選択肢をご紹介します。
マレーシアに単身で住むならシェアハウス
日本でもシェアハウスが増えてきていますが、マレーシアでも同様です。物件イメージとしては主に3ベッドルーム（日本の3LDKのイメージ）以上のコンドミニアム、アパートなどをシェアします。
ただしマレーシアの物件はバスルーム（トイレとシャワー）が２ヶ所以上ついていることも多く、またマスターベッドルーム（Master Bedroom／主寝室）はアンスイート（En-Suite）といって、部屋の中にバスルームも付帯しています。主寝室がそれにあたるので他の部屋よりも広いことが多いです。この場合はシェアハウスといえど自分自身の部屋にプライベートなバストイレがあるので賃貸感覚で住むことができます。ただしその分、家賃は若干高くなります。
電気ガスやインターネットなどはシェアハウスごとに異なるので、条件を確認してから入居することになります。またプール、ジムなどコンドの付帯施設も利用できますが、こちらもコンドによってそれぞれ異なります。
シェアハウスを利用するメリットとしては地価が高いエリアに安いレントで住むことができるため勤務先へ徒歩通勤が可能だったり、公共交通機関を利用しても通勤費の節約ができそうなことではないでしょうか。
また同居者にちょっとしたことを相談できたり、場所によってはさまざまな国の人と交流ができたりということもあります。
ただしコンドのユニット自体は特にルームシェアをするために造られているわけではないので、不便なこともあります。
共同生活視線、マレーシアのコーリビングとは
マレーシアのZ世代などに増えてきているのが、コーリビング（Co-Living）という考え方です。どちらかというとルームシェアはユニット内の部屋をシェアしているだけでプライバシーはそれぞれ順守するといった印象ですが、コーリビングはちょっと違います。
共同生活のためにつくられていないシェアハウスと逆のアプローチで嗜好や意識などを共有してコミュニティを構築するといった感じになります。一つ屋根の下に社交をメインとした人が集まるといった認識に近いのではないでしょうか。
契約期間の縛りがないことが多いというのがシェアハウスと一番違う点になります。シェアハウスは最低でも1年の契約期間が求められ、中途退去はペナルティの対象となることがあります。
具体的な違いがわかりにくかと思いますが、単に居室を与えられるのではなく、キッチン、ラウンジ、共用ワークスペースなどの生活空間を共有しやすい動線につくられていて、交流や協働などを通してつながることを目的としているのがコーリヴィングのコンセプトです。中には起業など志を同じくするメンバーが集まって共同生活をしているということもあります。
シェアハウスでは基本的に個人宅のキッチンのためなるべく人がいない時間に使って他の居住者とのバランスを考えますが、コーリヴィングの家は共同で使うということを意識しているため、例えばシェフや飲食店従事者などが多い物件にはプロ仕様のオーブンがあったり、火力の強いガスコンロがはいっていたりということもあります。
シェアハウスではなく共同生活を選択するメリット
まず一番のメリットはシェアハウスと同じくコスパの良さです。光熱費、維持費などを分割するため家賃がおさえられます。すでにお伝えしましたが契約期間の柔軟性が高いのはどのぐらいマレーシアに滞在するか、あるいは転職などで引っ越す可能性がある場合は優位となります。シェアハウスでは賃貸しているユニット本体の家賃を入居者の間で割るため、たとえば退去者がでた場合は、その分の穴埋めを描く入居者が負担しなければならないこともあります。
また基本的な目的がコミュニティを構築することなので、同じ趣味、嗜好、職種などが集まるコーリヴィングであれば相談をしたりリアルタイムでの情報交換ができるのは大変心強いのではないでしょうか。
個人でハイスピードインタネット、リクレーションエリア、ゲーミング環境、プロ仕様のキッチン設備など自分に必要なアメニティがあらかじめ備わっているのは将来的にもプラスになります。
また、これらのコーリヴィングはクアラルンプール市内および近郊だと公共の施設や交通機関などから近い場所にあることが多く中心部までのアクセスがよいのも魅力です。
コーリヴィングを選択するときの注意点
シェアハウスと似ている点も多いコーリヴィングですが、一番の違いはプライバシーです。帰宅後は自室でゆっくりしたい、といった場合の家探しは他の選択をした方がよいかもしれません。
賃貸は一度契約すると、どのような形態であれ一定期間は退去できません。ペナルティを支払わなければいけないことがほとんどです。幸いにクアラルンプール周辺は不動産の供給過多もありテナント側（借りる方）が優位かなという状況です。いい物件は早く決まってしまいますが、あせらずに実際に内見をしっかりして決めましょう。特に共同生活となるシェアハウス、コーリヴィングではどのような人が住んでいるのかもしっかりと把握することが重要です。