マレーシアは西マレーシアのマレー半島と東マレーシアの島嶼部(とうしょぶ)のボルネオ島(カリマンタン島)からなる国です。首都クアラルンプール はマレー半島側にあります。
マレーシア移住となると長期滞在が基本となるため、ビザの取得が必須となります。特に教育移住を考えている場合、子どもの年齢によってボーディング(寄宿舎)して学校に通うのか、保護者帯同で移住するのか、あるいはマレーシアの就労ビザを取得するなどの方法があります。
どの条件で移住するにせよ、現地の状況をチェックしておくのは非常に重要です。移住した後に「思っていたのと違う」「ここで住むのは難しい」というようなことにならないよう、下見の段階でチェックするポイントを在住者の立場からお伝えしたいと思います。
移住前にマレーシアの衣食住をくまなくチェックする
近年マレーシア移住が大変人気です。日本人が移住したい国の1位に14年選ばれていることでそのことを知っている人も多いのではないでしょうか。特に最近は、子どもの教育や現地就労などで移住する人も多くいます。
英語など外国語でコミュニケーション
マレーシアの公用語はマレー語(バハサマレー)ですが、首都クアラルンプールでやペナン、イポー、ジョホールバルなどの大都市ではほぼ英語のみで生活することができます。
英語は準公用語として使われているためマレーシアの人にとってもセカンドランゲージとなります。そのため、ある程度ブロークンでもコミュニケーションがとりやすいかもしれません。そのため英語圏と比べるとマレーシアにローカライズ(地域化)された言い回しもあります。マレーシアでは英語圏以外のさまざまな発音や言い回しに触れる機会が増えます。
下見をする際は観光を兼ねて実際にマレーシアの人々と簡単な会話をしてみることも今後の良い経験となります。
また日本のアニメはマレーシアの若い世代に定着します。そのためレストランやお店などでは挨拶程度からかなり流暢に日本語の話者がいますが一般的ではありません。
定住することになれば生活の中でどうしても最低限の英語のやりとりは出てきます。また子どもがインターナショナルスクールに通う場合は学期末の保護者面談などは基本的に英語となります。通訳を依頼できる場合もあるので学校見学の際に聞いてみるのもよいかもしれません。
居住予定エリアの環境やアクセスについて
常夏のマレーシアでは日中は外出行動的に過ごすことはあまりありません。もちろん全くではありませんが、日中はプールなどを除きスポーツ施設などもインドアが主流です。
住む予定のエリアのスーパーやショッピングモール、学校、医療機関などの把握もそうですが、周辺の娯楽施設などの確認も必要です。
目的の施設が徒歩圏であってもあまり歩いている人がいないこともあります。その理由として道路が歩行者のことを考えてつくられていないことが多いからです。マレーシアは意外にも車社会です。車を持たない、あるいは最初は車なしの生活をする場合は駅やショッピングモール、あるいはその両方にアクセスがしやすいコンドミニアムを選ぶといったことも選択肢になってきます。
後述しますが、生活スタイルによってはGrabが必須となります。
多民族国家ゆえに意外と棲み分けがある
マレーシアの三大民族はマレー系(ムスリム)、中華系、インド系です。例えば有名なブルーモスクがあるシャーアラム(Shah Alam)はムスリムが多く住むことで知られています。治安に関しいえばどの民族が多いエリアでも家賃が高いところはしっかりとしたセキュリティ対策がされているという点では同様です。
しかし、宗教や民族によって禁忌があります。例えばムスリムは豚肉、アルコールドリンクが禁止されています。そのためスーパーなどでは全く取り扱いがないこともあります。仏教徒が多い中華系は菜食を好む人もいますが文化的背景から豚肉、アルコールが問題にならないことも多く販売されています。
現在マレーシアはかなりキャッシュレス
日本でもスマホ決済が増えてきていますが、マレーシアはそれ以上キャッシュレスとなっています。カフェやレストランでもクレジットカードかスマホ決済イーウォレット(e-wallet)のみという店舗もあります。
日本のスマホ決済同様にイーウォレットはアプリをダウンロードして使用します。アプリを使う時には初期設定で電話番号の認証が必要となります。
タクシー配車アプリGrabは必須
マレーシアのみならず東南アジアの国々でも設定を変更することなく使えるグラブ(Grab)。マレーシアに着いてすぐにレンタカーをする、車を予約しているといった移動手段を確保していない場合、なるべく早く設定するようにしましょう。登録には電話番号、クレジットカードが必要となります。
ただしラッシュアワー、雨などで天候が悪いとき、祝日などでドライバーが少ないときなどはなかなか配車されなかったり、運賃(需要によるスライド制)が高くなったりすることもあります。
街を見るだけではなく居住候補地のチェック
移住目的によってどこに居住エリアが異なります。勤務先に近い場所を選ぶ場合はクアラルンプール中心部、家族でゆったりと過ごしたり子どもの学校などを考えると郊外などです。
どちらも安全面の考慮が最も重要になります。夜と昼で人の流れが変わる場所もあります。家族連れの日本人が多く住むエリアは以下のような場所になります。
モントキアラ(Mont Kiara)
バンサー(Bangsar)
ダマンサラハイツ(Damansara Hights)
サウジャナ(Saujana)
タマンデサ(Taman Desa)
デサパークシティ(Desa Parkcity)
これらの地域は以下のような理由で多くの日本人が住んでいます。
日本人学校の送迎バスがある。
日本人向けの施設、スーパー、飲食店がある。
子ども向けのイベント、交流会がある。
安全性がよいことで知られている。
ペット(犬)が飼えて散歩がさせられる公園、ドッグランがある。
中心部までのアクセスが比較的よい(ただし公共交通が最寄りにないことも)
ただし、単身世帯の場合は勤務先や通学先などによってはクアラルンプール中心部の方が利便性が高いかもしれません。
参考までクアラルンプールの家賃の目安となります。
単身:月額RM1000(約34388円)~/シェアハウス
※光熱費インターネットなど別途のことも。
家族世帯:月額RM3200(約110143円)~
※2〜3ベッドルーム&2バスルーム以上。駐車場1〜2台込みの場合有。
下見の段階でいくつか内見をすることで実際に移住したイメージや日本から送る荷物の量などが把握しやすくなります。
またコンドは日本とは仕様が異なるので特に水回りはよく見ておきましょう。オール電化、ガスはプロパンなどコンドによって異なります。
ウェットキッチン(台所がベランダに設置されていて屋内は簡単なカウンターのみになっている)、ウォーターヒーター(風呂やシャワーは天井のタンクの水を15分ほど温めてから使う)など、初めて見る設備もあるかもしれません。
こちらもオンラインの不動産ポータルサイトなどで気になる物件を見つけたらあらかじめ担当者の直接連絡をとっておいて下見の際に内見できるようにしておきましょう。